なかGのストーリー・ゲームレビュー

最近はゲームなどをストーリー・ドラマ・ナラティブ面を中心にレビューしています。

海藤正治の事件簿 レビュー

 

60点/100点満点

 

 龍が如く極→0→極2 [Legacy]→3→4→5→6→7→7外伝→8→JE→LJ(リタイア)→8外伝(→極2改)→極3→維新極→本作事件簿の順でプレイ。本編LJは色々と許しがたい出来で途中でリタイアしたが、そういえば本作はやってなかったのを思い出した。

 DLCということで、フルプライスを付けるために水増しされた様々な時間稼ぎ要素が削ぎ落されたミニマル的なボリューム感。のみならず、キムタクの出演なし、サブストーリーなし、カラオケなし、マップは神室町のみ。プレイ時間は10時間程度。比較するなら、極2の真島編よりは長く、極3の峯編よりは少し短い程度だろうか。これで3000円は高いというのにも一理はあるが、最近はセール時なら1000円しないようなので、それなら文句はないだろう。社会人にはむしろこのくらいがちょうどいいかと思われる。また、LJ本編の厭らしさは部分的にはこういった時間稼ぎという動機に由来していた面があり、いくらかそういった面が軽減されているように感じられた。またQTEの量も減っていた。
 それでも、相変わらずエンドロールはスキップできないのでお勧めにはできないのだが。実のところRGG作品ではスキップできないものの方が主流派なのだが、この点については一体制作者たちが何を考えているのかまったく理解できない。

 戦闘は、海藤がLJ本編のキムタクと比べてパワフルなキャラになっており、龍が如くの桐生に近い。バトルスタイルはテッパンとカチコミの二つの切り替え制で、極で言うところの壊し屋スタイルに近いテッパンスタイルはザコ敵集団に対しては強力で痛快。ただ、スウェイがまともに使えず、モータルリバーサルがほとんど不可能なので、ボスキャラとの対戦には向いていない。カチコミスタイルのほうには虎落としもあり、受付時間は本編同様甘めになっている。

 ストーリーについてはまあまあといったところ。以下ネタバレ。

 

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Ghostwire: Tokyo レビュー

 

80点/100点満点

 渋谷で人々の身体が消失して霊魂だけになり、ついでに化け物が徘徊するようになってしまった。化け物を成敗しつつ人々の霊魂を集めて救済せよ。ざっくり言えばそういう感じの、渋谷を主な舞台にしたちょっと和風オカルトチックなFPS。ただあまりホラーっぽくはない。
 パブリッシャーはベセスダだが、実際の開発はバイオハザードの初期の作者である三上真司氏が作ったTango Gameworks(代表作はサイコブレイクシリーズ)で、当時はベセスダ傘下でありつつも日本のスタジオ。ただし、本作では三上氏はエグゼクティブプロデューサーということで、本作の作者はディレクターとシナリオライターの木村憲司氏というべきかと思われる。
 概して、本作を構成する個々の要素には元ネタを想像できるものが多いが、その分オープンワールドのゲームとしては手堅く作ってあるという印象。ベセスダのノウハウも活かされたのかも知れない。特に、最大のウリとなる渋谷周辺のレベルデザインはなかなかよくできている。ただし、必ずしも現実の渋谷とまったく同じというわけではなくアレンジしてあって、その意味で龍が如くの神室町のような感じ。また中盤以降はどう見ても渋谷区ではなさそうな場所が多くなってくる。まあGhostwire: TokyoであってGhostwire: Shibuyaではないので、渋谷以外の街も入っているということなのかも知れない。最終盤には東京タワー(港区)も登場する。

 オープンワールドゲームとしては、拠点となっている神社にいる敵を一掃すると霧が晴れてマップの行動範囲が広がる、メイン/サブミッションが各所に設定されている、各種アイテムや霊魂を集めて回るなど、オープンワールドのいつもの通りの流れで進めることになる。ただ本作でやや特徴的なのがパルクール要素で、本作は超常能力アリの世界なので、主人公が制限付きながらフワフワと飛び回ることができ、従来のパルクール重視型ゲームよりも高い場所の移動がやりやすい。従来のゲームのパルクールは、どうしても爽快感より、まとわりつく重力を感じてしまう傾向があったが、本作では渋谷のビルの間を楽しく飛び回れる。ヘリコプターなどに乗れるオープンワールドゲームも多いが、それだと高く飛びすぎでバルクールとは別物になってしまう。本作のパルクールはバランスがいい印象。また本作で屋上に登れるビルの数は相当に多い。
 戦闘は超常的なものを含め飛び道具を使ったものが中心。パッドでプレイする場合のエイムは、エイムのモードに入ったときにオートエイムが効くという方式で、敵が動いていくにしたがってオートエイムをやり直す必要があるので少し面倒。ただ評者は今回主にマウスでプレイしたのだが、この場合エイムの補助はまったく効かない。このためどうしても外した分弾が無駄になるのだが、序盤から中盤にかけて弾数の上限がきつすぎて弾が足りなくなることが多かった。弾数上限はマップに配置された地蔵を見つけることで増やせるのだが、これを探すのがあまり簡単でなく、結局弾が不足気味のまま戦わなければならない期間が長かった。このため弾の補給にあたる結晶体をいちいち意識的に集めて回らなければならなかった。ステルス的にバックスタブやデスフロムアバブもできるが常に可能なわけではなくやはり足りない。結論として、本ゲームは少なくともマウスでプレイする場合やや戦闘のバランスが崩れている。この傾向は、アップデート後に追加された強力な敵と戦うとき、特に顕著に見られた。アップデートの追加要素でバランスが崩れるというのは本作に限らずよく見られる現象だが、一部のイキがったプレイヤーの簡単すぎるという声にゲームデザイナーがムキになってしまうのか、はたまた既存プレイヤーばかり見て新しいプレイヤーの存在を忘れるのか……どういうわけだろうか。まあいずれにせよ、弾数上限の初期値はもっと多くしたほうがよかったし、レベルアップだけで弾数上限が増えるようにすべきだった。基本的に、オープンワールドの宝探し要素というのは、配置するのは簡単でも探すのは想像以上に大変なもので、見つけられないとバランスが崩れるような要素を宝探しの対象にすべきではない。
 またこのゲームのメニュー画面は、メインの項目の下にサブメニューがあるというのがわかりにくいため、SKILLにPLAYER ACTIONだけでなくHAND ACTIONとEQUIPMENTがあることに中盤まで気づかなかった。EQUIPMENTの強化ができないと、矢の所持数上限も増やせず、戦闘がさらにきつくなる。
 敵の方は割と近接攻撃中心で、敵の飛び道具は弾速が遅いものが多い。PC側は防御と回避ができるようになっておりジャスト防御もあるが、評者のプレイでは防御はほぼ使わなかった。本ゲームに限らず、防御というのは、ゲームデザイナー側が防御ができない攻撃という"ズル"をすることが多く、覚えてもあまり意味がないことが多いので、評者の最近のプレイでは使うとしても回避が中心となりがちである。
 このゲームの戦闘時のビジュアルはキラキラピカピカした感じで、どちらかというとSF風。こういうタイプの表現は、あまりリアリティはないのとそれ自体によって視界が遮られる側面もあり好みが分かれるところかも知れない。ただとにかく派手めである種の爽快感はある。

 ストーリーについては、やや消化不良。ここからはネタバレ。
 まず世界設定の面から云うと、なぜ霊魂を集めて回らないといけないのか、なぜマレビトたちは襲ってくるのかといった基本事項からして、どうもあまりピンと来なかった。最初にある程度KKが簡単に説明はしていたわけだが…それだけだと足りていないように思う。一応の評者の理解だと、般若が最後の儀式を行うために霊魂を集めなければならないという事情があって、その手先としてマレビトたちにカゴメカゴメでもって霊魂を集めて回らせていたということのようだが、実際のところ、大抵の時間はマレビトたちは道でブラブラしているだけで、カゴメカゴメはたまにしかしていないではないか? そもそも最初に人体一挙消失という大技を披露しておきながらその後に残った霊魂だけはチマチマ集めて回らないといけないというのもなんだか不自然ではないか。また、霊魂が元の人体があったのと離れた位置にまとまって存在しているのはどういうわけなのか? それに、般若とその家族が一味になっているのはまあいいとして、その他のマレビトとの関係はどうなっているのかよくわからない。なぜ高校生や傘を持ったスーツ男を操っているのか? また、KKは般若のところに送られた霊魂は救われないと説明していたように思うが、その証拠を何も示しておらず、むしろ般若側としては自身が霊魂を救済していると主張していたようであり、ストーリーが終わってもその論点についての結論は出ていなかったように思う。この辺りが曖昧だと、そもそも主人公がやってることが正しかったのかというところまで曖昧になってしまう。
 それとやや細かい話なのだが、主人公の交通事故のファーストシーンから始まるが(ただしこれはアップデートで追加されたシーンらしく、発売当初版にはなかったようだ)、少しストーリーというものに慣れている人間だと、これは夢オチを疑わざるを得ない構成である。つまり渋谷の人体消失事件以降の出来事は、事故に遭って昏睡状態に陥った主人公が見た夢であるという解釈が成り立つ。結末に病院で主人公が夢から覚めるシーンがなかったので逆に驚いたが、いずれにせよプレイ中にはその解釈を捨てるだけの材料がないため、ストーリー中の出来事がある面で非常に軽いものになってしまう。どうせおそらく夢なのだから。一方で、このような立場では、夢の中で起こる奇妙な出来事は主人公の心理的トラウマの反映との解釈が可能になる。実際そういうシーンもいくつかあったわけだが、ただこの解釈を徹底するには、どうしてマレビト男の多くが黒服に傘なのかといった掘り下げ不足の点も多い。

 以上、種々問題はないこともないものの、全体として見れば割と楽しめたゲームと思う。最近割と思うのが、それなりに楽しさがあってもゲームデザイナーの性格の悪さみたいなものが垣間見えるゲームでは勧める気が失せる。このゲームの場合はそういう難点は少なかったかと思う。
 続編があったらやってみたいと思うが、マイクロソフトのゲーム事業縮小とかいろいろあってTango Gameworksというスタジオも大分変わっているようであり(三上氏はもういない)、実際、続編プロジェクトは以前存在していたらしいがその後音沙汰がないようで残念である。

 

RoboCop: Rogue City レビュー

 

75点/100点満点

 昔懐かしロボコップのFPS。ストーリーはオリジナルだがキャラや世界観はよく再現されている。

 マップはオープンワールドというよりは切り替え式に近い。一応メインになるのはデトロイトの旧市街と警察署のマップで、いずれもそれほど広いものではないが、ファストトラベルも乗り物も原則としてなく、しかもロボコップの足が遅いため、狭さを感じにくい。ちなみに、全然速くはないものの一応SHIFTで走ることができ、設定でトグルにするか押しっぱなし(HOLD)にしている間だけにするかを選べるのだが、HOLDモードにしている場合に、移動を始めてからSHIFTだと走ってくれる一方、SHIFTを押しながら移動を始めると走ってくれない。これが相当ストレスだった。

 ゲーム性については、FPSとしてそれほど凝ったものではないものの手堅い作り。FPSとして少し特徴的なところは、ロボコップが自前で持っている銃オート9が弾数無限で打ちまくれる上に、強化システムのおかげで中盤以降はかなり強いため、一応敵の武器を拾って使うこともできるものの基本的にオート9を中心に使うことになるところ。残弾数やどの武器を使うかをあまり気にしなくていいため、楽。また、中盤以降スローモーションが割とクーリングタイム短めでどんどん使えるのでエイムが苦手でも結構やりやすい。一方、敵がやたらと投げものを投げて来るのがややうっとおしい。
 一周目は難易度設定イージーだと、ザコ敵相手なら割と気持ちよく進められる一方、ボス戦などはまあまあ手ごたえがある感じなので、最初はあまり難易度を上げすぎないことを勧める。

 ストーリーについてだが、前述の通り主人公や悪役のキャラが原作からブレてない感じでここは好印象。一方で、ゲームのストーリーというもの全般にいえることではあるが、話を長くするためにちょっと複雑にしすぎている感はあった。悪役にはさらに上手の悪役がいた…みたいなことが繰り返される話になっている。
 それから、選んだ選択肢によるエンディングの分岐が本作にもあるようなのだが、評者はこういったシステムは評価しない。ドラマというものの本質は、主人公の選択を通じて美しい行いを表現することだが、選択をプレイヤーに丸投げしてしまったらその表現がうまくいかなくなってしまう。
 また本作のストーリーについて云うと、デトロイト旧市街の再開発の当否が争点になっていたわけだが、あれだけボロボロでホームレスだらけの汚い街を再開発するのは悪だなどと云われても簡単には賛成できない。グラフィックの表現としてはいい汚しだったかも知れないが、ストーリー的にはちょっと汚く表現しすぎだったかも知れない。

龍が如く 東急歌舞伎町タワーイベント (東急歌舞伎町タワーに集え)

 所要で新宿に出かけた折、何の気なしに歌舞伎町タワーを訪れたところ、龍が如くのちょっとしたイベントというか…期間限定の物販コーナーなどが設置されていた。中心となる会場が3Fのnamco TOKYOなのが驚きである。GiGOじゃないんだ。

 公式サイトの説明だと何やってるかわかりづらいかも知れないが、物販以外にも、いくつか展示があって、それらは無料で見て回ることができる。オススメは

  1. 真島建設の顔ハメ
  2. どこでも真島の巨大コーン
  3. POPPOの看板(物販コーナーにある)

くらいか(追記: Xの投稿を見るとどこでも真島のもう一つの展示、窓ガラスに張り付く真島(という体の単なるステッカー)が割と好評の模様)。ただ本当に興味深いのは、むしろ見に来ているファンたちの方だろうか。やっぱり年齢層高そうなのと、割と女性が多そう。
 なお、サイトには整理券とか書いてあるが筆者が行ったときは何もなかった。
 これらは筆者が行ったのが夜だったからかも知れない(追記、その後昼にも再訪したがあまり変わらず)。

 物販コーナーには喫茶アルプスのエプロンがどの商品よりも沢山積んであったように思うが、あまりに地味であり本当にそんなに売れるのだろうか? なんだかんだでシリーズ中で相当いろいろあった場所ではあるけれども。(追記、その後再訪したら大分減っており、代わりに真島建設のタオルが増えていた。まあ妥当なところかと思われる)

 公式サイトだとなんだか歌舞伎町タワーがミレニアムタワーに見立てられてるけれども、もちろんミレニアムタワー初登場時に歌舞伎町タワーはなかった。一説には、ミレニアムタワーのモデルは六本木ヒルズ森タワーとされている。位置的に言えば新宿東宝ビルの方が近く、また近作では低層部分がかなり近い見かけになっているが、これもミレニアムタワー初登場時にはまだなかった。コマ劇場があった頃である。

 筆者はその後再訪、コインロッカーを開けて桐生の団扇をもらって帰ってきた。

『シロナガス島への帰還』レビュー

 

70点/100点満点

 まずあまりネタバレにならない範囲で本作をご紹介すると、ポイント&クリック型アドベンチャーゲームで、ストーリーは変格寄りのクローズドサークル型ミステリー。元々同人ゲームだがコンシューマ機でも発売され、その際にクラウドファンディングで2500万円以上を集めてフルボイス搭載となった。その意味で同人ゲーム離れしている作品とも言えるが、真正面から商業ゲームとして評価するといろいろ不足している面もあり、今回の評価はあくまで500円の同人ゲームとしてのもの。ストーリー面で比較対象となる作品としては竜騎士07の『うみねこのなく頃に』が筆頭に来ると思うが、あそこまでこってりと長い話ではなく、全8章で各1時間前後、全部で10時間かからない程度のボリューム。ゲームシステムは、おそらく使用しているゲームエンジンの都合だろうがかなりシンプルなもので、人物情報とかを見るような機能もなく、また自分でセーブしておかないとゲームオーバーになったときやり直しできない場合もあり(できる場合もあるのでセーブを油断しがちなのがむしろ厄介かも)、結構古いスタイルのアドベンチャーゲームである。個人的には人物の名前が覚えられなくて困った。そういったこともあって推理は全然わからず、また時間制限付きのパズル的な要素があったりもし、基本的には、攻略サイトを見ながら進めるゲームということになると思う。この辺りは近時の商業作品だったら低評価にする十分な理由になるところ。

 一方、本作の美点は、竜騎士07作品にも通じる児童虐待というテーマの選び方と、コミュ障JKの助手役出雲崎ねね子のキャラクターだろう。

 総合評価としては、この値段ならプレイしてみる価値はある出来と思うが、前述のように特にシステム面で最近の商業作品のような完成度を期待すべきものではない。ちなみに評者は定価500円で購入したがその途端に半額セールが始まりモヤモヤしているところ。しかし250円はもちろん500円でも損ということはないだろう。そう思いたい。

 

 さて、ここからはネタバレでストーリー面で気になった点について。

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『都市伝説解体センター』レビュー

Urban Myth Dissolution Center on Steam

 全6話構成のミステリービジュアルノベル・アドベンチャーゲーム。昨年のインディーゲーム界を代表する評判のいい作品の一つ。ゲームの雰囲気としては、法廷シーンはないけど『逆転裁判』あたりが近い。近作では『パラノマサイト』シリーズもミステリー調だが、あちらは事件そのものに正面から超自然の力が関与しているのに対し、こちらは捜査手段としてのみ超自然的能力を使用する体で話が進む。
 総プレイ時間は10時間程度、各話1時間強で終わるのがダレにくくていい。随時謎解きをさせられるものの、多くは理解度テスト程度でそれほど難しいものでないものが多く、ちょっとこれを解かすのは無理があるのではと思うようなものも多少あったが、いくら間違えてもペナルティはないので、詰まりにくいだろう。

 久々にストーリーに唸らされた出来。本格ミステリーでありながらちゃんとテーマ性もある。オーラスでは二段落ち。評判がいいのも頷ける。文章を読むのに抵抗がなければオススメの作品である。

 敢えて欠点を探すとすると…ここからはネタバレ、コンプリートしてからお読みください。

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パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語 レビュー

Steamストアページ

 まずはあまりネタバレにならない範囲で本作を紹介する。
 『パラノマサイト』シリーズの第二作。どういうわけか第一作についてはストアベージにリンクも何もないのだが『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』がそのタイトルでもちろんSteamで購入可能。この第一作は2023年リリースで、第二作リリースまで3年弱かかったことになる。評者は第一作をリリース直後にプレイし、割と好感触を得たため続編を待っていたのだが、結構かかったなという印象。そのため第一作の内容については記憶が薄れがちなところもあるが、本作は登場人物も舞台も一新されており、同じ物語世界ではあるがほぼ第一作との繋がりはない。このため、第一作を忘れていても大体問題ないし、第一作をプレイしたことがないプレイヤーも、一応、本作からプレイ可能と思われる。
 ジャンルとしては基本的にアドベンチャーゲーム寄りのビジュアルノベルということになるかと思われ、プレイヤーのやることとしては会話の選択肢を選択することと、ステージ上をポイント&クリックして調べるのが中心。『逆転裁判』シリーズの捜査パートとそのあたりの感覚は大体同じである。ただし、PCとなる視点人物が4グループ存在し、個別のシーンは、ストーリーチャート上でそれぞれのPCごとに時系列順に表示されているシーンを選択して開始する。選択できるシーンは、進行にしたがって増えていく。この辺りは『428』『Siren』などと大体同じである。シーン中での行動選択によって歴史が分岐(『シュタインズ・ゲート』風に云うなら「世界線を移動」)し、それが別のPCのストーリーラインに影響することもある。この点はストーリーチャート上での表示があまりわかりやすくないのだが、ただ本作にかぎった問題でもない。
 本作にボイスは存在せず、完全に文字だけである。
 話の内容は基本的にはミステリーだが、ただし最初からオカルトがはっきり実在する前提で進む話なので、『ひぐらしのなく頃に』みたいな内容は期待すべきでない。フーダニットはないこともないもののそれほど重視されておらず、ドラマ性を重視したシナリオに見える。いわゆるパズル的小説といった意味での本格推理ファン向けではないかも知れない。
 第一作と比較すると、まずプレイ時間はほぼ第一作と同じ。ストーリーの質はおそらく上がっており、大味なところが減った。特にエンディングのまとめ方は、ハッピーエンドがハッピーエンドらしくなっていて改善されたと云える。一方で、ストーリーの複雑さや情報量は上がったようだ。特に歴史面の情報量が増えた印象である。第一作同様に『パルプ・フィクション』のようにシーンを見ていく順番が実際の時系列と違っていることや、混同を誘うような紛らわしい設定が多いこともあり、全体像の把握はなかなか簡単でない。所々で理解度テスト的なものが入る頻度が上がったようにも思うが、これは制作側でもそうしないとプレイヤーが脱落するリスクが高いと考えたからか。本作は、前作以上に一度始めたらあまり間をあけず記憶が新鮮なうちに一気に最後までプレイしたほうがいいだろう。またトゥルーエンドへの分岐条件は、第一作以上に理不尽に難しくなっており、時間の無駄なのでここは無理をしないで攻略サイトを見ることを勧める。
 素潜りのミニゲームはシンプルながら結構楽しめる。最初にプレイしたときはすぐ溺れるのに驚いたが、これからプレイする人にはどんどん溺れてレベルアップしておくのがいいとだけアドバイスしておく。能力をMAXまでレベルアップしてやっと海女らしい潜水時間が確保できるくらいである。評者は最初のプレイで全能力MAXにした。
 これからプレイする人のためにここで一旦最終評価を示しておくと、定価が2千円台という安価さもあり、ビジュアルノベル好きの人ならプレイして損はない作品と云えると思う。

 ここからはネタバレありでドラマ面についてレビューする。トゥルーエンドまでクリアしてからお読みください。

 

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