死亡フラグの意味が逆転したのはなぜか

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 アドベンチャーゲームなどの分岐があるタイプのインタラクティブストーリーでは、「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」のような定番台詞は、本来、フラグが立っている(既にプレーヤーが人物を死亡させる行為選択をしたため、死亡ルートに入っている)ことの結果であって、それを発したことでフラグが立つわけではない。
 ところが、最近の用法ではここがメタ的に逆転していて、定番台詞が出たことが原因でその人物が死亡するかのような物言いになっている。
 小説・ドラマの場合、プレーヤーによる行為選択というものがなく、初めから人物の行動は決まっているともいえ、死亡の原因行為より前に定番台詞が来ることも可能だ。この種の台詞の本来の機能は、死亡しないで済む可能性があるということを観客に提示することで、それはその人物が死亡のリスクのある選択を敢えてする理由となり得るから、そのような提示の順序の方がむしろ自然であるとさえ言える。
 このような場合には、定番台詞によりこの後その人物が死亡することが観客にとって半ば確定する。これを「死亡フラグが立った」と表現すると、逆転用法が成立する。