この記事で興味を惹かれたことと、もともと世評の高かった作品でもあったことで購入。超映画批評なんか95点付けてたけれど、でも、鑑賞してみた限りでは、そこまでの出来とは思えない。
この話のテーマは、要するに、子どもがおもちゃを卒業した後のおもちゃたちの処遇。で、この話で主張されるのは
- ゴミに出すのは彼らがカワイそうだからダメ
- 保育所に出すと乱暴に扱われるからダメ
- あと保育所にはひねくれたおもちゃのボスがいて支配されてしまうからダメ
- 丁寧に扱ってくれることがわかっている子どもにあげるのはOK
ということなんだけど、1・2・4はまあいいとして、3はこの作品世界の中だけで通用する作り物の事実だから観客に対する主張としては無効。にもかかわらず、尺の面ではこれが一番長くなってるので違和感が強い。3を丸々なくしてしまえばこの問題は解決するけれど、それだと1時間弱くらいの作品になってしまうので、劇場用作品には適さない。だからたぶん脚本家はわかっていながらこうするしかなかったのだろう。
でも本当は、4の「丁寧に扱ってくれることがわかっている子どもにあげる」過程の山あり谷ありを描くべきだったろう。
また、やや細かく言えば、2の保育所の年少クラスだと乱暴に扱われるからおもちゃたちにとって不幸だというのも、ちょっと説得力のない話に思えた。子どもである以上年齢に係わらず大なり小なり乱暴に扱われるものではないか?
なお、超映画批評では3の点について、アメリカの雇用問題のメタファなのだという解釈が披露されていたが、敢えてそう解釈する根拠に乏しく、またそう解釈した場合に矛盾する部分が多いと思う。